醒めない
「醒めない」
スピッツの最新アルバム、そしてそのアルバムの1曲目のタイトルでもある。
前作「小さな生き物」が、全体に散漫な印象があって、あまり好きになれなかった。いい曲は入っているんだけど。
なので、スピッツのアルバムは、ファーストアルバムと「ハチミツ」以降は初回版を持っているんだけど、今回はちょっと迷って、アマゾンでの予約を保留にしていた。
ポチったのは、Mステで「みなと」を聴いてからだ。「みなと」はいい曲です、もう王道スピッツ。これは期待していい、と確信した。
ところが、今回のアルバムは「みなと」の曲の良さとその歌詞の奥深さ(おそらくは震災、というか震災後、を意識している)だけで語られるアルバムではなかった。
それは、Mステでアルバム発売直前に歌った「醒めない」が象徴している。
スピッツはこれまでも、アルバムの1曲目で決意表明をしてきたことはある。
例えば「とげまる」の「ビギナー」とか「さざなみCD」の「ぼくのギター」。
あるいは、自分たちの立ち位置を歌った曲も少なくない。「未来こおろぎ」とか「ミカンズ」とか。
これらの曲と比較すると「醒めない」の力強さがより明確になる。
以下、サビの歌詞引用。
まだまだ 醒めない アタマん中で
ロック大陸の物語が
最初 ガーンとなった あのメモリーに
今も 温められてる
任せろ 醒めないままで 君に
切なくて 楽しい時を
あげたい もっと 膜の外へ
なんか未知の色 探して
さらに 解き明かすつもり
(スピッツ「醒めない」より)
すごいですよ、この歌詞。
ぼくら世代で(ちなみに、草野さんの一歳上(^^ゞ)今だに音楽を演奏したり聴いたりしている人には、確実にガーンとくる。
この曲が響かなくなったら、ぼくの音楽人生も終わりかな、と思うくらい。
スピッツが「任せろ」ですよ!笑
ものすごい、自己肯定。
ロッキングオン・ジャパンの記事にもあったけど、このアルバム、スピッツが照れながらも力強く自己肯定をしたアルバムだと感じる。
そして、おそらくはスピッツの歴史を語る上でも、「名前をつけてやる」「空の飛び方」「隼」などと並んで、とても重要なアルバムになると思っている。
「醒めない」聴くだけでも3000円出す価値あり(あ、初回のBlu-razyおまけ付版買ったからもうちっと高かったけど・・・)。
その他にも、「ヒビクスク」「雪風」「コメット」「ナサケモノ」。。。
ああ、そう、このアルバムはとにかくどの曲もいいんですよ。
とにかく、一回全部を聴いてほしい。
スピッツらしいメロディ、強く優しいメッセージ、バンドサウンド。
正直「とげまる」を聞いたとき、あ、もうスピッツはこのサウンドを再生産さえしてくれればいいや、なんて思っていたのだが、それを更に超えてくるとは。